マタニティ専門鍼灸院 銀のすずは
妊娠初期から産後の方を専門でサポートしています。

妊婦さんへの施術をしちゃだめだという理由と根拠

皆さんは「オキシトシン」というホルモンを聞いたことがありますか?
私が初めて聞いたのは20年以上前で子宮収縮、射乳反射を起こすホルモンと習いました。
ようはこの子宮収縮が問題なのですね。
早産を引き起こすといわれた所以です。

その後、研究が進み、オキシトシンは「心地よい」と感じると分泌されることがわかり、「愛情ホルモン」、「包容ホルモン」、「幸せホルモン」といわれるようになりました。
オキシトシンには痛みを取る、記憶を消す、不安を消す働きがあるのです。

このオキシトシン、妊娠とは関係なく分泌されるので、気持ちよくなるたびに、子宮が収縮するなんてことは起こりませんし、男性にだってオキシトシンは出ています。
どうやら非妊娠時と妊娠時では働きかける場所に違いがあることがわかっています。
いわゆるレセプター(受容器)が違うのです。

少し難しい話になりますが、ホルモンのメカニズムを簡単にお話します。
【ホルモンの定義】
・特定の臓器または組織の細胞で産生される
・血液中に分泌され、血液によって標的器官に運ばれる
・特定の臓器または組織の細胞に作用する
・極めて微量が分泌され、作用する
※同じホルモンでも標的細胞が異なると作用も異なる
※内分泌系の化学物質をホルモン、神経系の化学物質を神経伝達物質という

【ホルモンの種類】
数百種類あるとされていますので、一部メジャーなものを紹介します。
・アミノ酸誘導体ホルモン:甲状腺ホルモン(T3、T4)、ドーパミン、アドレナリン、セロトニン、メラトニンなど
・ペプチドホルモン:副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、オキシトシン、抗利尿ホルモンなど
・ステロイドホルモン:コルチゾール、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロンなど

【ホルモンの作用】
・細胞膜上の特異的受容体に作用するもの:ペプチドホルモン、アミノ酸誘導体ホルモン
ホルモン、オキシトシン、リラキシン、妊娠
①ホルモンは細胞膜の受容体と結合する
②セカンドメッセンジャー(cAMP、Ca2+)の量を変化させる
③セカンドメッセンジャーの量的変化で種々の酵素が活性化し、ホルモン作用が発現

・細胞質内の特異的受容体に作用するもの:ステロイドホルモン
※甲状腺ホルモンは直接細胞核に入る
妊娠、エストロゲン、マタニティ、針灸
①ステロイドホルモンは直接細胞質内の受容体と結合する
②受容体の立体構造が変化し、染色質との結合部が露出
※染色色:塩基性色素で染まる染色体の主成分
③ホルモンレセプター複合体は細胞核に入り、特定の染色質のタンパク質に結合し、特定の遺伝子の転写(mRNA合成)を調節
※甲状腺ホルモンはレセプターと結合せず、細胞核に入る
④特定のタンパク質の生合成が変化することでホルモン作用が発現

ちょっと難しい話でしたね。
簡単に言ってしまえばタンパク質系と脂肪系のホルモンがあって、脂肪系(ステロイドホルモン)の薬は即効性がありますよね。
その理由は細胞膜の受容器を使わず、直接細胞内に入り込むからです。
タンパク質系のホルモンは、細胞内には入ってこれないので、間接的に情報のみを受け渡すという手順を踏まなくてはなりません。

さて本題に戻り、オキシトシンはペプチドホルモン、タンパク質系のホルモンです。
下垂体後葉(脳)から分泌され、神経性と血液性に働きかけます。
神経性という理由は、大細胞性神経細胞で作られるので、神経に働き(神経伝達物質)、かつ血液中(ホルモン)にも分泌されるということです。

受容体が脳、そして乳首、子宮にあるため、脳の感情的な側面と射乳反射、子宮収縮を起こすのです。
またオキシトシンは子宮収縮には必須ではないということが判明しました。
※射乳反射には必須です。

オキシトシンの分泌メカニズム
・子宮筋の伸長、乳首の刺激でオキシトシンは分泌
・エストロゲンによって分泌増加、脳内のオキシトシン受容器の増加を起こす
・何らかの刺激でオキシトシンが分泌されると、下垂体後葉へとオキシトシンが作用する

授乳をするとオキシトシンが分泌され、母乳の出は良くなる、そして心地よくなるのですね。
また心地よいと思うとさらにオキシトシンが分泌し、痛みの緩和、トラウマを消す、不安を取り除くことができるのです。

私たちの鍼灸マッサージは、「心地よい」ことが条件ですが、皆様のお役にたてるかと思います。
妊娠中でも安心して施術をお受けください。 銀のすず